海外MBA取得にあたってもっとも気になるのはランキングと授業料。先日、U.S.NewsによるMBAランキングが発表され、トップ14校のビジネススクールの授業料と入学者数が公開されています。もっとも高額な授業料はMITスローンでした。1年間の授業料が789万円（1USD=120JPY換算）なので、2年間で1,578万円、ボストンは米国の中でも物価が高い地域なので生活費を20万/月とすると2年間で480万円。したがってMBA取得の費用は順調にいって約2,000万円という計算となります。極端な言い方をすると、米国では出せる人には高い授業料が課され、出せない人には成績次第で多種多様な奨学金、もしくは長期の教育ローンで工面という文化が根付いているので、何らかの奨学金を受けている受講生が多いのが実情です。

ではMBA取得の「費用」を見方を変えて「投資」と考えてみましょう。2,000万の自己投資と考えると、MBA取得前の年収が1,000万円から取得後に1,200万円と20%上昇することが期待できるとすれば、20%の利回りに相当するので10年で元が取れてしまう魅力的な投資といえます。こうした視点をベースにして欧米のMBAランキングが作成されていますので、MBA取得に対して報酬増額で迎える文化がそれほど根付いていない地域で活動するビジネススクールは、必然的に欧米のMBAランキングには登場しにくい環境にあります。

特に日本は、これほどまで経済が成長しながらも、経営学教育を行う教育機関が実社会が必要とするマネジメント教育を提供する努力を怠り、企業が独自の社員教育システムを構築してきたため、MBA教育そのものの価値が過小評価されている側面があります。無論、国内MBA教育そのものが欧米と比較すると未成熟であることは事実でしたが、ここ15年の間で状況が一変してきていると実感しています。さらにあと15年もすれば、授業料が1000万円のビジネススクールが国内に登場し、それに見合う教育が行われる日が到来することでしょう。

・ハーバードビジネススクール授業料
・MITスローンビジネススクール授業料