DX時代のプラットフォーム競争戦略-MBAのための8つの訓え-⑧
MBAのための8つの訓え、ひとつ『軒を貸して母屋を取られる』
いよいよMBAのための8つの訓えも佳境を向かえます。今回の訓えは「軒を貸して母屋を取られる」です。プラットフォーム競争戦略の真骨頂とでもいうべきパートです。この諺の意味としては、一部を貸したら全部を奪い取られてしまう。「利益の量」に関する意味と、もう一つは、こちらの善意に付け込まれる。「裏切り感情」に関する意味もあります。英語では、Give him an inch and he‘ll take a mile. 1インチを与えれば1マイルを望むという表現がこの諺に似ています。
諺を実際のストーリーに置き換えてみます。なかなか客が集まらない店を営んでいた商人Aさんのところに別の商人Bが来て「軒先のほんの少しの場所で良いから貸して欲しい」と申し出てきました。商人Aさんは、「軒先程度の狭い場所であれば貸しても問題ないかな。集客を手伝ってくれるならこちらも歓迎だ」と思い承諾しました。ところが、軒先で開いた商売は日に日に繁盛していきます。一方、肝心の商人Aの店の方の売り上げは一向に増えません。そのうち、商人Bは、「売り上げが増えて手狭になってきたから軒先だけでなく店の中のスペースも貸してくれないか」と頼んできました。売り上げが伸びない店の主人は仕方なく了承します。商人Bの商売はますます繁盛します。そんなこんなを繰り返しているうちに、商人Bに店ごと乗っ取られてしまいました。
上下の階層が相互接続する時、この「軒を貸して母屋を取られる」 現象が起きてきます。製造業界、通信業界、医療業界、様々な業界でこの現象は見られます。自分の携わる業界ではどうでしょうか。考えてみるのもいいですね。では今週はここまで。To be continued…